新米PdM目線でおすすめする書籍「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」

新米PdM目線でおすすめする書籍「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」

書籍「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」を、新米PdMの目線で読んだ書評です
Clock Icon2023.08.29

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ども、大瀧です。

9/5発売予定の書籍「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」の翻訳レビューに参加し、献本をいただたきました。翻訳者の皆さまありがとうございます。筆者は昨年9月からITエンジニア向けトレーニングサービスDevelopersIO BASECAMPのプロダクトマネジメントチームに参画しているので、新米目線で書評を書いてみます。

エンジニアキャリアパスを紹介する書籍の定番になりそう

最近いくつか出版されている、エンジニアキャリアパスを紹介する書籍のひとつと分類できるでしょうか。例えば、似たようなタイトルの「エンジニアリングマネージャーのしごと」(オライリージャパン社刊)が思い浮かびます。

多数のプロダクトマネージャーにインタビューを敢行して現場の声を集めるスタイルは、「スタッフエンジニア マネジメントを超えたリーダーシップ」(日経BP社刊)と近いとも言えます。スタッフエンジニアは職種としての位置づけや担うべきことにボリュームを割いているのに対し、本書はノウハウやTipsに重きを置くことでページ数がそこまで多くないので、時間をかけずに読めるのが嬉しいです。

オライリーの出版物ということでソフトウェアエンジニア向けに書かれてはいますが、文中には"担当するプロダクトに関するハード(技術)スキルは、プロダクトマネージャーとして果たしてどれくらい求められるのか"と問う場面があったりと、特にIT技術の知識が無くとも読み進めていくことができます。一方でプロダクトマネージャーのロールはスクラム由来ということで、スクラム開発に関する知識があるとプロダクト開発チームの編成を理解する素地が得られたり、まるまる1章分語られているアジャイルのフィードバックへの理解が進むことでしょう。

章ごとの概説と感想

1章では導入としてプロダクトマネジメントにまつわる誤解や悪習を整理しています。プロダクトマネージャーとプロダクトオーナーをまとめて「あいまいなプロダクトなんとかロール」とくくられているのには吹いてしまいましたが、そのあとの「プロダクトに関連するロールは組織ごとに少しずつ違う」との結論に至って合点がいきました。

2章ではプロダクトマネージャーとして活躍するためのベースとなるスキルをコミュニケーション組織化リサーチ実行の4つに分類します。その後の章との関連付けを踏まえつつ要約し、プロダクトマネージャーには幅広いスキルが求められることを明らかにしています。

3,4章では前述のスキルのひとつ、コミュニケーションを基軸にした2つのキーワード「好奇心」と「過剰コミュニケーション」を深掘りします。私にはこの2つの章がとても新鮮で、常に意識して取り入れたいなと思っています。特に『4.5 「よさそう」からの脱却戦術:Disagree & Commit』が秀逸です。アンディ・グローブのことばやAmazonリーダシップの文脈でDisagree & Commit自体は何度か目にしたことがあったのですが、これまで"なんとなく先進的で優れたやり方"くらいでしか意識したことがありませんでした。本書ではDisagree & Commitをステークホルダーを巻き込んで議論を進める手法として、取り入れる目的から具体的なやり方、事例までが丁寧に書かれています。私はこれを読んで初めてDisagree & Commitについてきちんと理解し、実践できる実感を持つことができました(実践できているとは言っていない)。

5章以降はテーマごとの知見集のような建て付けなので、さっと読んであとから「あぁ、そういえばあそこにあんなことが書いてあったような」と思い出して読み返す感じで活用するのが良さそうです。先輩PdMの知見を要約して読めて、新米としてはお得な体験だなぁと感じられます。

「革新的な新しい、イケてるやり方を紹介するぜ!」というよりは、「そういうことあるよね」、「こういう観点を加えると失敗を防ぐ落としどころに着地できるよ」という感じで、全体的に柔和な印象の書き味です。書籍「エンジニアリングマネージャーのしごと」と同様、組織やプロダクトサービスにコミットするロールなので、この方針には納得感がありますが、銀の弾丸を知りたい!欲しい!という方にはもしかしたら物足りないかもしれません。

私のお気に入りは、12章の『12.1 層になったケーキをひと口食べる』です。プロダクトマネジメントのよくある場面を非常に上手く表現していると感じました。こういう上手いたとえ方を知ると、無性に他のメンバーに話したくなってムズムズしますね(笑) 社内や社外のPdMと一緒に、読書会やエクストリームリーディングを企画すると盛り上がるのではないかと思います。

まとめ

書籍「プロダクトマネージャーのしごと 第2版」の様子をレポートしてみました。

プロダクトマネージャー自体の解説は最小限なので、プロダクトマネジメントをイチから勉強したい!という方は他のプロダクトマネジメント本と合わせて読み進めるのがおすすめです。一方で、本書は他の書籍には書いていないことがたくさん詰まっている良きアドバイス本だと思うので、新米PdMもベテランPdMの方も傍らに本書を置いておくと役に立つことがありそうです。オススメです。

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